370兆円投資、官主導に危うさ=「勝ち筋」見極め、失敗多く―成長戦略



政府が21日決定した日本成長戦略は、日本が優位性を持つ先端技術などに官民で累計370兆円超を投資し、「日本を再び成長軌道に乗せる」ことを目指す。だが、政府が「勝ち筋」を見極めることの難しさは、過去の成長投資の失敗例が物語っている。専門家からは、教訓が生かされているのか懸念する声も上がる。

政府が官民連携による「危機管理投資」と「成長投資」の対象とするのは、人工知能(AI)・半導体、量子、防衛、コンテンツなど17分野。高市早苗首相は「行き過ぎた緊縮志向と投資不足の流れを断ち切る」と意気込む。

ただ、将来の「勝者」となる企業や産業を見極めるのは容易でない。政府系金融機関から多額の支援を受けながら、2012年に経営破綻したエルピーダメモリはその典型例だ。日本の電機大手の半導体メモリー事業を統合して設立されたが、海外勢との価格競争や市況に応じた事業リスクの管理に失敗し、会社更生法申請に追い込まれた。

新興企業(スタートアップ)の成長政策を研究する加藤雅俊・関西学院大教授は、個別企業への政府の支援は「既存プレーヤーの保護」になりかねず、「中途半端な企業が生き残る一方、新規参入が阻害される」と警鐘を鳴らす。

その上で、政府が民間企業や特定産業の成長を予測することは「難しい」とし、「規制緩和や競争環境の整備によって新陳代謝を促すことこそが、成長や技術革新のカギを握る」と説く。

政府による支援ではガバナンス(統治)の在り方も問われる。第2次安倍政権以降設立された官民ファンドでは、投資先の選定や事業管理の甘さが表面化。政府が9割以上を出資した海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は累積赤字が540億円に膨らみ、他のファンドとの統合や廃止が検討されている。

官民ファンドの費用対効果などを検証してきた政府の財政制度等審議会委員の土居丈朗・慶大教授は、政府が前面に出過ぎることが「緊張感のない無責任体制を招いてきた」と指摘。公的資金を投じる以上「厳格なガバナンスと適切な経営者選任が前提になる」と訴える。

〔写真説明〕経済財政諮問会議・日本成長戦略会議合同会議で発言する高市早苗首相(左から2人目)=21日午前、首相官邸

2026年07月22日 07時03分


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