
個人向け国債の販売促進の議論が活発化している。政府が商品拡充の検討を進めているほか、与野党では少額投資非課税制度(NISA)の対象に加える案や、相続税減税案も浮上。大規模な金融緩和を終えた日銀が買い入れ額を減らす中、国債の安定消化に向けた受け皿として「個人」に照準が当たっている。
「個人向け国債の商品性見直しや新商品設計を含めた魅力向上の具体化を急いでいる」。片山さつき財務相は16日の国会答弁で強調した。
国債発行残高に占める日銀の保有割合は、2013年に国債を大量購入する「異次元緩和」に踏み切って以降、11%程度から急増。23年には53%超に達した。ただ、日銀は翌年から金融政策正常化に転換。国債の買い入れ額も段階的に縮小しており、保有割合は47%台に下がってきた。
代わりに足元では保有期間が比較的短い海外投資家が増加。市場が変動しやすくなっている。金利が急騰すれば利払い費増を通じて財政負担となるため、国債を安定保有する受け皿の確保は急務だ。保有割合が2%程度にとどまる個人の伸びしろに期待は高い。利回り上昇で投資妙味が増したことも追い風だ。
ただ、個人向け国債は現在、変動金利10年物と固定金利5年物、固定金利3年物の3種類のみ。政府は満期まで10年を超える商品の追加など販売促進策を検討中で、自民党の資産運用立国議員連盟(会長・岸田文雄元首相)も商品性見直しや新商品設計を提言した。
一方、国民民主党は10日、NISAでの金融所得税(税率20.315%)の非課税対象に国債を加え、相続税も課税しない仕組みを設ける法案を国会に提出した。玉木雄一郎代表は、NISA利用者の投資先が海外株式に偏る現状を疑問視し、「中長期の資産形成を安定的に行える選択肢」になると訴える。相続税減税を求める声は自民の一部にもある。
しかし、相続税減税は「富裕層優遇」との批判は免れない。また、「貯蓄から投資へ」の方針の下、株式などのリスク性商品に国民の資産を振り向ける目的で創設されたNISAに、元本が保証される個人向け国債を組み入れることには慎重論が根強い。株式や投資信託を対象とした既存の投資枠との関係をどう整理するかが問題となる。片山氏は「さまざまな論点を丁寧に議論する」としたが、実現への課題も多い。
【時事通信社】
〔写真説明〕17日、参院予算委員会の集中審議で挙手する片山さつき財務相
2026年07月21日 13時26分