日本郵便、自治体から受託拡大=全国2万超の拠点を活用―国費支援、民営化は曲がり角



日本郵便が、地方自治体から受託する住民票発行などの行政サービスに力を入れる。全国2万4000の郵便局ネットワークを生かし、過疎地での「最後のとりで」として地域住民の生活を支える。来年度から郵便局網の維持に国費が投入され、日本郵政の公的役割は強化される。「官から民」を掲げ、効率的な経営を目指した郵政民営化は曲がり角を迎えている。

郵便局が自治体の行政サービスを代行するケースが増えている。マイナンバーカード交付申請などのほか、地域に精通した郵便局長らが巡回して住民同士の交流を促す「集落支援員」業務も行う。6月に成立した改正郵政民営化法などは、こうした公共サービスの提供を、日本郵便の「本来業務」に位置付けた。日本郵便は、2028年度までに600自治体から行政事務の受託を目指す。

岡山県新見市は今年度、一部の市民センターや連絡所の窓口業務を廃止し、住民票の写しの交付などを近隣の4郵便局に委託した。政策推進課の担当者は「限られた予算や人員でサービスを維持するため」と話し、今後も委託する郵便局を増やしたい考え。大分県別府市は公会堂の指定管理者に日本郵便を選定し、公会堂内に郵便局を移設する。

今回の法改正では、政府が保有する日本郵政株の配当金などを原資に年650億円程度の交付金の支出が決まった。日本郵政が保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式については、3分の1超を「当分の間」保有すると明記され、完全売却は遠のいた。東海大学の立原繁名誉教授(郵政事業論)は「民営化に逆行した政策」と指摘する。

日本郵政では、デジタル化による郵便物の減少で、郵便・物流事業が3年連続の営業赤字に陥っている。金融2社が業績を支える構図が続く中、多額の国費投入に頼らず、郵便事業の持続的な経営基盤を確立することが急務となる。

〔写真説明〕郵便局内でのマイナンバーカードの交付申請の様子(日本郵便提供)

2026年07月27日 09時41分


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