空母「福建」、年内にも試験航海か=電磁カタパルトの射出実験―中国



【北京時事】昨年6月に進水した中国3隻目の空母「福建」が、年内にも試験航海するという見方が強まっている。香港紙・明報は、福建が電磁カタパルトの射出実験を行ったと報道。岸壁からの移動も伝えられており、関連準備を進めているもようだ。

明報は11月27日、SNSで出回った映像に基づき、停泊した空母から車輪付きの物体を射出するのに成功したという軍事専門家の見方を報じた。映像は民間機の乗客が撮影したとみられ、空母前方の水面から水柱が立つ様子が映っている。射出された物体や、電磁カタパルトが作動する場面は含まれていない。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星画像の情報として、空母が19日に岸壁から27メートル移動し、2日以内に元の場所へ戻ったと伝えた。明報によれば、傾斜試験や船底の泥の除去が目的とみられ、年内にも試験航海が行われる可能性がある。

中国国防省の呉謙報道官は30日の記者会見で、現在は係留試験を行っているとした上で「引き続き計画通り、着実にプロジェクトを推進する」と語った。

習近平指導部は台湾有事を見据え、海軍力増強に力を入れている。配備済みの「遼寧」「山東」の2隻はそり上がった甲板から艦載機が発艦する「スキージャンプ式」だが、福建は艦載機を効率的に射出する電磁カタパルトを初めて搭載。攻撃・防御能力が大幅に向上する一方、運用には高度な技術が必要で、実戦投入には課題が多いとも指摘されている。

〔写真説明〕建造中の中国空母「福建」の衛星写真=米マクサー・テクノロジーズ社が2022年5月撮影、上海(AFP時事)

2023年12月01日 17時27分


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