パレスチナ関係・識者談話



◇情報戦で「環境」整う

高岡豊・中東調査会協力研究員(中東地域研究)の話

戦闘の一時休止中、イスラエルは情報戦で国際世論を意識し、戦闘再開へ「環境」を整えた。戦闘休止前はパレスチナ自治区ガザの病院攻撃や新生児の死亡などで心証が悪かったが、イスラエル人の人質が解放され、拘束時の境遇などが報道で目立つようになると風向きは変わった。

イスラム組織ハマスは戦闘休止中、収監者の一部釈放や人道支援物資の搬入で満足してしまった。ヨルダン川西岸でイスラエルによる土地収奪やパレスチナ人の拘束が続いていても、ガザでイスラエル軍が戦闘準備をしていても、表立った主張をしなかった。

情報戦ではほんの3~4日の動きの良しあしが大きく影響する。ハマスには「筋書き」を描ける人物がいない。アラブ社会の報道機関も今回の衝突では大局観に欠けており、イスラエルとアラブ全体の力量の差があらわになった格好だ。

今後の戦闘では、ガザ地区に人が住めなくなるほどの事態になりかねない。その中でも双方の情報発信が重要となっていく。

2023年12月01日 19時34分

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