地震後もやまぬ戦闘=「停戦」発表も形骸化―ミャンマー



【バンコク時事】ミャンマーでの大地震後も、内戦状態の国軍と抵抗勢力の戦闘はやまず、双方が表明した「停戦」は形骸化している。対立は根深く、甚大な被害が出た災害に一丸となって対処する状況とは程遠い。

ミャンマーでは2021年、国軍がクーデターで実権を掌握した。政権を追われた民主派は「国民統一政府(NUG)」を設立し、武力による抵抗を開始。かねて国軍と敵対していた複数の少数民族武装勢力も本格的な戦闘を始めた。

今回の地震の震源に近く大きな被害が出た北部ザガイン地域は、NUGが一部を支配。国軍が空爆を加えるなど激しく衝突し、民間人も巻き添えになっている。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ザガイン地域と中部マンダレー地域では地震発生時、約134万人が戦火を逃れ避難生活を送っていた。国連開発計画(UNDP)は「紛争による失業や食料不足といった複数の危機が、地震によってさらに深刻化した」と訴えた。

国軍は今月2日、震災対応を優先するとして停戦を表明。22日には30日まで延長すると発表したが、この間もザガイン地域などへの空爆を続けた。NUGが表明した停戦は20日に期限を迎えたが、延長の発表はない。

国軍報道官は「停戦に違反して国軍の基地が攻撃を受けている。われわれは報復する」と抵抗勢力側を非難する。一方、NUGの外交担当幹部は独立メディアへの寄稿で「緊急の人道支援は必要だが、軍事独裁政権の問題にも同時に取り組む必要がある」と強調。抵抗を続ける姿勢を示した。

〔写真説明〕ミャンマー地震後の7日、抵抗勢力が占拠したとする北部ザガイン地域の国軍基地=「国民統一政府」(NUG)のフェイスブックより

2025年04月28日 08時10分


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