【ベルリン、ワシントン時事】イラン核合意の当事国である英仏独中ロとイランは6日、次官級協議をウィーンで開き、合意復帰を検討する米国の対イラン経済制裁解除と、イランの核開発制限履行について専門家部会で協議を続けることで一致した。米代表団も、仲介役の欧州連合(EU)を通じ、イラン側と間接交渉を開始。崩壊寸前にある合意の再建に向け、一歩が踏み出された形だ。
ロイター通信によると、当事国は9日に再会合を開く見通し。交渉の焦点は、米国による制裁解除とイランの合意順守に向けた行程表で合意することだ。EU欧州対外活動庁(EEAS)のモラ事務局次長はツイッターで「核関連の履行と制裁解除について、2専門家部会での外交プロセス」を進めることで各国が結束していると説明した。
米代表団を率いるマレー・イラン担当特使は協議には参加せず、イラン側と直接接触はしなかったもようだ。7日以降もウィーンにとどまり、EUを介した協議を行うとみられる。米国務省のプライス報道官は6日の記者会見で、協議を「建設的で、確実に歓迎すべき一歩」と評価した。
ただ、米イランの直接交渉が実現しない中、早期に妥協策を見いだせるかは不透明だ。イランのアラグチ外務次官は会合後、米国は「すべての制裁を一度に解除すべきだ」と改めてけん制。一方、プライス氏は「最大限の要求では、うまくいかない」と述べ、米国が先にすべてを行うことはないと強調した。
イランとオバマ米政権(当時)を含む主要国は2015年、イランが核開発を制限する見返りに、制裁を解除する核合意を締結。しかし、トランプ政権(同)は18年、弾道ミサイル開発阻止が盛り込まれていないなど不満を示し合意から離脱し、制裁を再発動し、追加制裁も繰り返した。イランは対抗措置として、高濃縮ウランの製造など合意逸脱を続けている。
〔写真説明〕イラン核合意当事国と欧州連合(EU)の次官級協議=6日、ウィーン(EU提供・AFP時事)
2021年04月07日 14時56分