
「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東隆行さん=当時(72)=が2013年に射殺された事件で、殺人などの罪に問われた特定危険指定暴力団工藤会系組幹部田中幸雄被告(59)の初公判が26日、京都地裁(西川篤志裁判長)であった。田中被告は罪状認否で「私は決して犯人ではありません。到底承服できません」などと述べ、無罪を主張した。
検察側は冒頭陳述で、事件現場で押収されたたばこの吸い殻2本から検出されたDNA型が田中被告と完全に一致したと指摘。事件前日に大東さん宅付近の防犯カメラに身長や体格、歩き方の特徴がよく似た人物が映っていたなどと述べた。
弁護側は、検察側の証拠はいずれも状況証拠で、「決め手になるものではない」と反論。「被告は事件当日、福岡県にいた可能性がある」とも主張し、今後アリバイを立証する方針を示した。
検察側は証拠調べで、付近の防犯カメラの映像、逃走に使用したとみられる盗難バイクから硝煙反応が確認された鑑定結果などを示した。被告の知人が事件前後に電話した際、「(被告は)『京都にいる』と言っていた」と証言したことなども明らかにした。
起訴状などによると、田中被告は13年12月19日早朝、京都市山科区の同社本社前で、大東さんの胸や腹を拳銃で撃って殺害したとされる。
公判は今回を含め計12回開かれ、延べ約40人の証人尋問が行われる見通し。来年6月29日に結審し、判決は同10月16日に言い渡される。審理は裁判員裁判から除外され、裁判官のみで行われる。
事件後、同社は第三者委員会を設置。16年3月に公表された報告書によると、同社は1995年以降の約10年間、福岡県を拠点とする会社との間に、多額の貸し付けや不動産売買などを通じ、計200億円を超える不適切な取引があったと指摘された。
〔写真説明〕「餃子の王将」社長射殺事件の初公判が行われた京都地裁の法廷=26日午前、京都市中京区(代表撮影)
〔写真説明〕田中幸雄被告
2025年11月26日 20時02分