「将来に希望持てる社会を」=原告の性的少数者カップル―同性婚訴訟、28日判決・東京高裁



同性同士の結婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法に違反するか―。この点が争われた同種訴訟で最後となる6件目の控訴審判決が28日、東京高裁で言い渡される。原告はトランスジェンダーなどの性的少数者8人。取材に応じた原告カップルは「将来に希望が持てる社会になるよう、明確な違憲判決を期待している」と話す。

原告で40代の一橋穂さん(仮名)は、戸籍上は女性で性自認が男性のトランスジェンダー、パートナーで50代の武田八重さん(同)は女性。2015年から都内で武田さんの娘と3人で暮らし始めたが、社会保険料の負担など結婚できないことによる弊害を実感したという。

19年以降に各地で提起された先行訴訟では、性的指向に基づく差別を訴える同性愛者が原告だった。「トランスジェンダーとして誰も原告に立てないと、社会の中で見えない存在になるんじゃないか」。一橋さんはそう思い、性自認が男性なのに戸籍上の性別を理由に結婚できないのは差別だと主張して21年に提訴した。

一審東京地裁は昨年3月、結婚に関する法律は個人の尊厳に立脚すべきだと定めた憲法24条2項について「違憲状態」の判断にとどめた。一橋さんは「合憲ではないことが重要で、肯定的に受け止めた」と振り返る。

一審判決後、生活環境が急激に変化した。武田さんは原因不明の腕や膝の痛みで、一時は支えなしに歩けなくなった。一橋さんは万が一の備えを意識せざるを得なくなり、安定的に稼げる職業に転職。単身で都外に引っ越した。どちらかが入院したらそばにいられるのか、財産は残せるか―。2人は関係の不安定さを改めて感じたという。

幼稚園の頃に性別の違和感に気付いた一橋さん。訴訟の原動力は「どんな大人になれるのか、家族は築けるのか。私が持っていた閉塞(へいそく)感をなくしたい」との思いだ。「国側の代理人や裁判官、みんなの周りにもきっと当事者がいるということが伝わったらいいな」。28日は東京に戻り、2人で判決に臨む。

【時事通信社】 〔写真説明〕同性婚訴訟の東京高裁判決を前に、オンライン取材に応じる原告の一橋穂さん(仮名)=17日 〔写真説明〕同性婚訴訟の東京高裁判決を前に取材に応じる原告の武田八重さん(仮名)=17日、東京都内

2025年11月25日 07時07分


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