宿泊キャンセル、休漁も=「後発地震注意」影響広がる―事業者「どうなるか心配」



気象庁が9日未明に発表した「北海道・三陸沖後発地震注意情報」で、防災対応を取るべき地域とされた中には、11日までに宿泊施設の予約キャンセルが発生したところもある。青森県では一部休漁が決まり、事業者からは「どうなるか心配だ」などと不安の声が上がった。

最大震度6強の揺れがあった同県八戸市。旅館を営む70代女性は「ビジネス利用を中心に宿泊予約のキャンセルが5、6件あった」と明かす。今月下旬には県外から中学生のアイスホッケーチームの団体予約が入っているが「どうなるか心配だ」と不安を口にした。「大きな地震に備え、宿泊客には避難場所や経路の事前確認を呼び掛けている」と力を込めた。

八戸みなと漁協は近隣の漁協と調整の上、1日に解禁されたホッキ貝漁を15日まで休止することを決めた。別の漁は続けているといい、同漁協の高橋雅彦参事(60)は「『注意情報』には過剰反応しないようにしつつも、必要な対策は講じていきたい」と話した。

震度5強を観測した北海道函館市にあるホテルでは、約10件の予約キャンセルがあった。台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁の影響で、海外観光客からのキャンセルも相次ぐ中での「ダブルパンチ」。支配人の50代男性は「新規予約よりもキャンセルの方が増えているが、注意情報が安全につながるなら仕方ない」とこぼす。

日本三景の一つ「松島」(宮城県松島町)で遊覧船を運営する「松島島巡り観光船企業組合」にも、地震発生翌日に約30件の予約キャンセルが寄せられた。同組合の男性理事は「安全運航が第一で、設備の点検や避難経路の確認は常にやっている」と強調。「いつでも地震は起きるという構えで営業するほかない」と言い聞かせるように語った。

〔写真説明〕地震の影響でガラスなどが散乱する歩道=9日、青森県八戸市

2025年12月11日 20時52分


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