
阪原弘さんの再審は、生存中の実現はかなわなかったものの、遺族が請求人となって重い扉をこじ開けた。本人が死亡した場合、申し立てができるのは刑事訴訟法で配偶者や直系の親族らに限られているが、遺族による同様の請求はこれまでも各地で起こされている。
三重県で1961年、女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」では、奥西勝・元死刑囚が2015年に89歳で病死。その後、妹の岡美代子さん(96)が再審請求を引き継ぎ、今年1月に名古屋高裁へ第11次となる申し立てを行った。
奥西元死刑囚は一審津地裁で無罪となったが、二審名古屋高裁で死刑判決を言い渡され、最高裁で確定。起訴直前に否認に転じてから無実を訴え続けたが、死亡するまで約46年間にわたり拘置された。05年の第7次請求審でいったん開始決定が出たものの、その後取り消されるなど、司法の判断は揺れた。
横浜市で88年、金融業者夫妻が殺害された「鶴見事件」で有罪が確定した高橋和利・元死刑囚も21年、第2次再審請求中に87歳で病死した。公判では一貫して無罪を主張。裁判所は捜査段階での「自白」の信用性を否定しつつ、被害者の事務所から現金を持ち去ったことなどの状況証拠から有罪判決を導いた。
高橋元死刑囚の妻(91)による第3次再審請求は、横浜地裁、東京高裁で退けられ、最高裁も25年3月、特別抗告を棄却した。
〔写真説明〕名張毒ぶどう酒事件の第11次再審請求申し立てのため、名古屋高裁に入る弁護団や支援者ら=1月22日、名古屋市中区
2026年02月25日 20時32分