
自治体の要請でヒグマを駆除した際、周辺の建物に銃弾が当たる恐れがあったとして、猟銃の所持許可を取り消された北海道猟友会砂川支部長の池上治男さん(77)が道に処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は27日、処分を適法とした二審判決を破棄し、違法と判断した。裁判官5人全員一致の意見。池上さんの逆転勝訴が確定した。
猟銃所持の許可取り消し処分を巡り、最高裁が違法と判断するのは初めて。クマによる被害が各地で多発する中、自治体側は公益活動に従事するハンターの処分に当たって慎重な検討を求められそうだ。
判決によると、非常勤公務員の「鳥獣被害対策実施隊員」だった池上さんは2018年8月、砂川市職員や警察官の立ち会いの下、ライフルでヒグマを駆除。道公安委員会は周囲の建物に着弾する恐れがあったとして、19年4月に猟銃の所持許可を取り消した。
同小法廷は、弾丸が現場にいた同僚ハンターらに当たる危険性があったことは認めつつ、池上さんが市の要請を受けて出動した点を重視。「周辺住民の生活環境の保護に資する重要な意義を有する活動の一環として行われた」と述べた。
その上で、具体的な人的被害が発生していないことから、猟銃所持許可の取り消しは池上さんに酷な面があり、隊員の職務遂行を萎縮させる恐れもあると指摘。道公安委の処分は「重きに失する」として、裁量権の逸脱、乱用に当たると結論付けた。
道公安委は「判決を重く受け止める。ご不便、ご負担をおかけしたことをおわびするとともに、猟銃の返還に向けた手続きを進める」とコメントした。
一審札幌地裁は弾丸が付近の建物に当たったり、損壊させたりした事実はないとして処分を取り消した。一方、二審札幌高裁は現場は見通しが悪く、銃弾が跳ね返りやすい状況で処分は適法だったとして請求を棄却。池上さん側が上告していた。
〔写真説明〕猟銃所持の許可取り消し処分を巡る上告審判決で逆転勝訴が確定し、笑顔を見せる原告の池上治男さん(中央)ら=27日午後、東京都千代田区
〔写真説明〕猟銃所持許可取り消しを巡る訴訟の上告審判決に臨む最高裁第3小法廷の林道晴裁判長(上段中央)ら=27日午後、東京都千代田区(代表撮影)
2026年03月27日 18時41分