
太陽系の惑星で最も外側の海王星よりも遠い太陽系外縁天体(TNO)の一つに希薄な大気が存在することを、国立天文台などの研究チームが小型望遠鏡の連携観測で発見した。TNOで大気が確認されたのは冥王星以外で初めて。論文は4日付の英科学誌ネイチャー・アストロノミーに掲載された。
太陽系外縁部は、マイナス220度以下の世界。窒素やメタン、一酸化炭素以外は気体として存在できず、天体表面に大気はほぼ存在しないと考えられてきた。唯一、直径約2400キロの冥王星で薄い大気が確認されたが、より小さな天体は重力が弱く、大気を保持できないと思われていた。
国立天文台の有松亘講師らは、地球から約55億キロ離れた直径約500キロのTNO「2002
XV93」が、遠方の恒星の光を遮る「掩蔽(えんぺい)」を起こすと予想された2024年1月10日、京都と長野の小型望遠鏡で観測を計画。プロ・アマ問わず各地の天文家に呼び掛けた。
掩蔽の際、手前の天体に大気がない場合は見掛け上、ほぼ一瞬で恒星の光が消えるが、大気があると屈折により光が徐々に消える。
京都、長野のデータに加え、福島のアマチュア天文家細井克昌さんの観測を併せて調べると、なだらかな減光が起きており、大気の存在が確認された。解析の結果、大気圧は冥王星の50~100分の1、地球の500万~1000万分の1程度と推定された。
大気の起源については、(1)内部に放射性物質などの熱源がある(2)小天体の衝突で一時的に生じた―などが考えられるといい、有松さんは「いずれの説も、想定しなかった内部の活動性や衝突があったことを示唆する。これまでの外縁部のイメージを書き換えるかもしれない」と話した。
〔写真説明〕冥王星以外で初めて大気が確認された太陽系外縁天体「2002
XV93」の想像図。背景は同天体が遠方の恒星を「掩蔽(えんぺい)」する様子(国立天文台提供)
2026年05月05日 00時18分