マウスの胚にラットの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を注入し、ラットの膵臓(すいぞう)を生み出す際、障害となる拒絶反応を解明したと、米スタンフォード大と東京科学大の研究チームが8日までに米科学誌セル電子版に発表した。
この拒絶反応を回避する技術も開発した。将来は膵臓を作れないように遺伝子操作したブタの体内でヒトの膵臓を作り、移植に使うなど、新たな臓器再生・移植方法を実現するのに役立つと期待される。
免疫機能は受精卵が成長した胚の段階では発達していないが、原始的な「マクロファージ」と呼ばれる免疫細胞が病原体などを取り込んで排除する。スタンフォード大の中内啓光教授(東京科学大特別栄誉教授)が率いる研究チームは、マウスの胚に注入したラットの細胞も種が異なるため排除されることを突き止め、「ゼノファゴサイトーシス(異種食細胞作用)」と名付けた。
マウスの胚に注入されたラットの細胞は、マウスのマクロファージにとって排除する目印となる物質が表面に露出する。この物質はリン脂質の「ホスファチジルセリン」で、研究チームはラット細胞内の酵素を強化して細胞表面への露出を抑える技術を開発した。さらに、マウスのマクロファージ自体を除去する技術などを組み合わせることで、マウスの体内でラットの膵臓を作る成功率を改善できたという。
ヒトの膵臓などをブタの体内で作る場合は、種の違いが大きく、安全性を十分に確保する必要もある。研究チームは今後、拒絶反応を回避する技術を一層改良する方針。
2026年06月08日 09時57分
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