耐え難い悲しみを抱く中、御嶽海は白星をささげた。12日に母マルガリータさんが病気のため55歳の若さで死去。地元の長野県に帰郷し、慌ただしく今場所を迎えた。「初日から体はしっかりと動いている。やっと(初)白星につながってくれた」と安堵(あんど)の表情を見せた。
「学生時代を含めると、50番近くやっている」と言う正代との一番。差し手争いから、右をのぞかせた相手に対し、左を巻き替えて反撃。寄り切って元大関同士の対戦を制した。「厳しい相撲ができた」と手応えを口にした。
母は明るい人柄で愛された。観客席から息子を熱心に応援する姿は何度もテレビで中継され、人気となった。2年前には、父の春男さんを亡くした。突然の出来事に傷ついた心を抱えながら出場を決めた今場所。必死に土俵に立ち続けている。
報道陣に対しては母に関する質問の自粛を要請。自身の目の前の勝負だけに向き合っている。「あと12日間、厳しい相撲を取っていきたい」。白星を重ね、堂々とした姿を届けていく。
【時事通信社】
〔写真説明〕正代(左)を攻める御嶽海=16日、東京・両国国技館
2025年09月16日 20時42分