国土交通省は16日、2025年の基準地価(7月1日時点)を公表した。景気の緩やかな回復により、全用途の平均は1.5%上昇。4年連続のプラスで、上昇率は前年の1.4%から拡大した。全国的な地価の上昇基調が続く中、東京、大阪、名古屋の三大都市圏と札幌、仙台、広島、福岡の主要4市を除いた「その他」の地方圏でも、住宅地が30年ぶりに下落から脱却し、横ばいに転じた。
用途別の全国平均は、住宅地で1.0%、商業地で2.8%上昇した。住宅地は、低金利でローンを組みやすい状況が続いているのに加え、リゾート地で別荘・移住需要が拡大したのが要因。商業地は、インバウンド(訪日客)が訪れる観光地や半導体メーカーの工場進出地域で顕著な伸びが目立つ。都心では外国人を含めたマンションへの投機需要があり、マンションとオフィスが混在する商業地で地価が押し上げられた。
三大都市圏全体は、住宅地、商業地とも上昇幅が前年より拡大した。地方圏のうち、主要4市全体は住宅地、商業地ともプラスだが、上昇幅は2年連続で縮小。「その他」は商業地で上昇幅が拡大した。
都道府県別に見ると、住宅地で上昇したのは20都府県で、前年より三つ増加。石川、長野、滋賀、宮崎の4県がプラスになった一方、北海道がプラスからマイナスに転じた。商業地で上昇したのは30都道府県で、二つ(長野、山口両県)増えた。
24年に発生した能登半島地震の被災地はマイナスが続くものの、インフラ整備や被災住宅の公費解体が進んだため、住宅地、商業地とも下落幅は縮小傾向にある。
全国で地価が最も高かったのは、住宅地が7年連続で「東京都港区赤坂1の14の11」。1平方メートル当たり643万円(前年556万円)だった。商業地は「東京都中央区銀座2の6の7」の明治屋銀座ビルが20年連続で最高となり、1平方メートル当たり4690万円(同4210万円)。
【時事通信社】
〔写真説明〕国土交通省が基準地価を公表し、商業地で最高価格地点となった明治屋銀座ビル=9日、東京都中央区
2025年09月16日 18時01分