
幕内最年長の記録を持つベテランが、25歳の横綱をあと一歩まで追い詰めて館内を沸かせた。この日、41歳の誕生日を迎えた玉鷲は金星を逃し、「仕事はちゃんとできたが、自分としては残念」。笑顔の中に悔しさをにじませた。
強烈な左おっつけで大の里の差し手を封じ、右のど輪でのけ反らせた。ひらりと土俵を回った相手を追い切れずに腹から落ち、「最後は取り逃がした」。土俵下で口をとがらせる姿は、全く年齢を感じさせない。
玉鷲に更新されるまで40歳10カ月の記録を保持していた大島親方(元関脇旭天鵬)は長く現役を続けるカギは体力面より「気持ち」と断言。「負けが増えると落ち込むし、体が通用しないのかなと思う。勝てばまだ行ける、と思う」
大の里戦を控えた朝稽古の後、玉鷲は厳しい表情で「自分は自分の仕事があるから」と取材に応じなかった。衰えない勝負への執念が、その体を若々しく張らせている。
自身の潮時を「玉鷲の相撲が面白くないと思われたら」と語ってきた。この日の支度部屋では「40代をなめんなよ」。豪快に笑う鉄人は、まだまだファンの期待に応えそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕大の里(右)を攻める玉鷲=16日、福岡国際センター
〔写真説明〕大の里(左)を攻める玉鷲=16日、福岡国際センター
2025年11月16日 20時46分