
体を投げ出すようにして決着をつけると、大の里の大いちょうは乱れた。必死だったのだろう。大関候補の期待を背負い、2敗で並んでいた安青錦を馬力で退けた。土俵際は際どく見えたものの、物言いはつかず、「少し、自信はあった」と冷静。新鋭の壁となって番付の重みを誇示し、賜杯争いは両横綱がトップで並走する展開となった。
「うまく走れた」と内容にも納得。もろ手で起こすと、得意の右を差してぐいぐい前進。左の上手を与えたが、土俵際で強引な投げにきた相手を構わず寄り切った。
基礎運動を中心に鍛えた下半身が「安定してきている」と自信を深める。さらに、心境の変化も奏功したようだ。10日目から2連敗を喫し、「吹っ切れた」と言った。引き締まった表情で「欲を出さず、この一番に集中した」と振り返る様子に雑念は感じられない。
土俵下で見守った高田川審判部長(元関脇安芸乃島)は物言いについて「つけようがない。吹っ飛ばしている」と明快に説明。力量の差を示し、勝負の残り2日へ。大の里は「しっかりと集中する」と自らを引き締めた。
【時事通信社】
〔写真説明〕大の里(下)は寄り切りで安青錦を下す=21日、福岡国際センター
2025年11月21日 20時46分