
政府が創設を目指す経済安全保障に関するシンクタンクの組織体制案が21日、判明した。政策立案機能を強化するため、(1)情報分析(2)サプライチェーン(供給網)(3)技術管理(4)リスク評価―の4部門を置き、最大50人規模で構成。幹部には各省庁からの出向者を充て、民間人材も採用する。司令塔となる国家安全保障局(NSS)と連携することで、総合的な調査研究や迅速な政策提言を行う。
複数の政府関係者が明らかにした。高市早苗首相が検討を指示した経済安保法改正案に盛り込む見通し。来年の通常国会に提出し、2027年春の発足を目指す。
特定国の経済的威圧や有事により重要物資などの供給が途絶えるリスク、機微技術の流出といった弱点をあぶり出す。課題だった関係省庁の縦割りを解消し、官民連携による対策を検討する。
ロシアによるウクライナ侵攻では、資源や物資の供給が滞るリスクが顕在化した。台湾有事なども念頭に複数シナリオを想定し、脆弱(ぜいじゃく)性を分析した上で、調達の多元化や省資源化技術の開発といった対策を各省庁に示す。
人工知能(AI)やロボット工学といった軍事転用の恐れがある技術に関し、諸外国の管理の動向を調査。輸出入や外資企業を通じた技術の流出を防ぐ策を講じる。
法改正により、官民の情報共有の場となる官民協議会も設置する。首相や関係閣僚が出席する「総会」と三つの分科会から成る。電力・通信インフラの大規模障害、海上輸送の制限などの危険性を机上演習で点検する。民間関係者には「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度により、情報を扱える資格を政府が認定する。
【時事通信社】
〔写真説明〕閣議に臨む高市早苗首相(中央)ら=21日、首相官邸
2025年11月21日 15時50分