
独走優勝した阪神に15ゲーム差をつけられての3位。リーグ連覇を目指していた巨人にとって、今季は屈辱的なシーズンだった。敗因の一つとして、先発ローテーションの主軸と計算していた戸郷翔征投手の長い不振が挙げられる。
昨季まで3年連続12勝をマークした戸郷。チームの大黒柱だった菅野が米大リーグ移籍で抜けたため、今季は当然のようにエースと目されるようになった。責任感が強い性格だけに、その周囲の期待がいつしか重圧に。開幕から不安定な投球が続き、5月下旬まで白星から見放された。
阿部監督が心配していたメンタル面の弱さが露呈した形に。勢いが出ないまま臨んだ後半戦には、けが人も出て先発ローテーションを回すことが苦しくなり、首位阪神の背中は遠ざかるばかり。最後はDeNAにも抜かれた。戸郷は「チームのトップである難しさ、菅野さんのすごさを感じた一年だった。柱となる選手が崩れると、チームの順位はこう(悪く)なってしまうと思うし、責任を感じている」。
戸郷が勝てずに2軍で調整していた時期、菅野から電話があった。「何も変えるな。新しいこともやらなくていい。結果が出なくても、今までやってきたことをやりなさい」。尊敬する先輩からの金言も頼りに、9月以降は4勝1敗と持ち直した。終わってみればチーム2位に並ぶ8勝(9敗)。せめてもの意地だった。
杉内投手チーフコーチは「野球人生は順風満帆にいかない時もある。これを糧にして来年飛躍してほしい」。壁にぶつかった25歳の右腕にとって、2026年は真価を問われるシーズンになる。
【時事通信社】
〔写真説明〕ヤクルト戦の5回、4失点し、うつむきながらベンチに引き揚げる巨人先発の戸郷=3月28日、東京ドーム
2025年12月18日 07時05分