安全策のプレーに苦言=国内ツアー活況の陰で―女子ゴルフ



女子ゴルフの今季国内ツアーは、高い人気を保てるかが試された一年だった。2024年までの3年で年間女王となった山下美夢有と竹田麗央に加えて岩井明愛、千怜の双子姉妹が米ツアーに主戦場を移した。結果的に若手の台頭が目立ち、次々と初優勝者が誕生。1大会平均で1万1000人を超えるギャラリーを集めるなど、以前と変わらぬ活況を感じさせた中で、競技レベルはどうだったか。

賞金女王に2度輝いた鈴木愛が、8月のニトリ・レディースを制した後にこう言った。「アグレッシブな選手は海外に行ってしまうことが多い。安全なゴルフもいいとは思うが、見応えが少なくなってしまう」。大会で上位につけていた選手が、最終日になるとスコアが伸び悩む状況が目立っていた。自身はリスクを背負ってでも攻めるゴルフを実践。国内の発展を願うからこそ、ファン目線で発した苦言だった。

11月に行われた日米両ツアー共催のTOTOジャパン・クラシック。既に日本で1勝を挙げていたルーキーの荒木優奈は、米ツアー勢との差を口にした。岩井千と同組のラウンドもあり、「自分は攻めるほど悪い方にいくが、千怜さんはめちゃくちゃバーディーを取っていた」。さらに上を目指すためにも必要なものを肌で感じた。

若くして海外でのプレーを志向する選手が増えている現状にあって、国内通算12勝の小祝さくらたちのように、あくまで日本に軸足を置く考えの選手もいる。今季を締めくくったJLPGAツアー選手権リコー杯。畑岡奈紗ら米ツアーのメンバーが6人も顔をそろえた最終戦で、岩井千とのプレーオフの末に優勝をつかんだのは鈴木だった。同じく国内にこだわる31歳の意地が、ちらりと見えた。

【時事通信社】 〔写真説明〕ワールドレディース・サロンパス杯の最終日、移動する藤田さいき(手前右から2人目)と大勢のギャラリー=5月、茨城GC東 〔写真説明〕ニトリ・レディースで優勝した鈴木愛=8月、北海道CC大沼

2025年12月18日 07時06分


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