
誰がこの展開を予想しただろうか。金メダルの最有力候補として臨む三浦、木原組がSP5位と出遅れた。木原はうなだれ、しばらくその場から動けなかった。
得意とするリフトで痛恨のミスが出た。三浦の体を木原が右手一本で支える形から両手に持ち替える際、タイミングが合わず互いの左手をつかみ損ね、三浦がバランスを崩した。指導するマルコット・コーチも「練習でも一度も見たことがない」と語る想定外の出来事だった。
「ここではもう失敗できない」。直後のスロージャンプで三浦がしっかりと着氷したのは、意地の現れだった。動揺は隠せず、いつもはぴたりと合うスピンが乱れ、ステップ前には音楽と動きがかみ合わない場面も。それでも、磨いてきた表現力と力強い滑りは評価され、演技構成点は全体で2番目に高い得点を手にした。
7位入賞だった北京五輪から一気に力を伸ばし、今大会は世界王者として挑む。日本が銀メダルを獲得した団体では、SP、フリーとも他を圧倒する演技を披露していた。
SP首位のドイツペアとは6.90点差。本来の力を発揮し、自己ベストを出せれば逆転の可能性もある。三浦は「丁寧に一つ一つ、気持ちを切り替えて挑んでいきたい」と意気込んだ。
取材対応では言葉を失い、ぼうぜんとした様子だった木原。それでも最後は気持ちを立て直し、振り絞るように言った。「ここでいつものようにお話しできるように、必ず戻ってきます」。この種目で日本勢初のメダル獲得が懸かるフリーへ、視線を上げた。
【時事通信社】
〔写真説明〕フィギュアスケートペア・ショートプログラムの演技を終えた三浦璃来(左)、木原龍一組=15日、ミラノ郊外
〔写真説明〕フィギュアスケートペア・ショートプログラムで演技する三浦璃来(上)、木原龍一組=15日、ミラノ郊外
2026年02月16日 14時31分