
カーリング日本女子のフォルティウスでリードを務める近江谷杏菜は4大会、16年ぶりに五輪の舞台に戻ってきた。失意のどん底からはい上がり、成長を続けるチーム最年長の36歳。「幸せに感じる。世界トップの中でプレーしている実感が、今の方がしっかりある」とどっしりと構え、チームをけん引する。
故郷はカーリングの聖地とされる北海道常呂町(現北見市)。小学4年で競技を始め、1998年長野五輪代表の父・好幸さんから基礎をたたき込まれた。父は体の柔軟性やスイープの重要性を伝えたと振り返り、「今が一番安定感がある。世界で3本の指に入るリードに成長した」と娘の成長に目を見張る。
2021年秋に前回北京五輪の最終予選代表決定戦でロコ・ソラーレに敗れた。会場だった北海道稚内市から車で帰る道中の約5時間、「やりきった。自分のカーリング人生が終わるのかな」と現役引退を考え、涙が止まらなかった。チームで話し合いを重ねる中、心が再び燃え上がった。
年齢を重ねても変化を恐れず、貪欲に進化を追い求める。20年からプラントベース(植物由来)中心の食生活に切り替えて回復力が高まり、故障が長引かなくなったという。24年には石を投じるフォームを約15年ぶりに改良。前足のかかとをわずかに浮かせるように変え、「体のバランスが崩れにくくなった」。ショットの安定につながった。
20歳で初出場した10年バンクーバー五輪は1次リーグ敗退。「地に足が着かず、ふわふわしたまま終わってしまった。準備不足で悔しい思い出」と振り返る。正確なショットで戦術の土台を築く「職人」は、多くの経験を重ねた自信を胸にリンクに立っている。
【時事通信社】
〔写真説明〕カーリング女子1次リーグの韓国戦でスイープする近江谷(左)=15日、コルティナダンペッツォ
〔写真説明〕バンクーバー五輪でストーンを放つ近江谷=2010年2月、カナダ・バンクーバー(EPA時事)
2026年02月16日 20時33分