
足早に引き揚げる薄暗い通路。ポルトガル代表のクリスティアノ・ロナルドは、涙で顔をくしゃくしゃにした。2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会の準々決勝で敗れた直後。世界の頂点という夢がついえ、悔しさがあふれ出た。
あれから4年。世界で最も活躍した選手に贈られるバロンドールに5度も輝いた41歳は、史上最多となる6度目のW杯に臨む。米CNNによると、オンラインで出席したイベントで「次が最後のW杯か」と問われ、「間違いなくそうなる。今がその時だ」と明言した。
衰えは否定できない。全てを備えた万能アタッカーも、今はプレスやおとりの動きは限定的。ただ、類いまれな得点感覚は健在だ。ゴール前で違いを生み、今大会の予選ではチーム最多の5得点。26歳のビティーニャら新世代が充実する中でも存在感に陰りはない。
ビッグクラブで世界を沸かせ、名門レアル・マドリードのクラブ最多得点記録も持つ。欧州チャンピオンズ・リーグ制覇に5度貢献し、16年には祖国に初めて欧州選手権王者の称号をもたらした。栄養管理は厳格で、鍛え抜かれた肉体は誰しもがほれぼれする。今はサウジアラビアのクラブでプレー。「この25年間、サッカーに全てをささげてきた」との自負は決して誇張ではない。
ゴールを奪えば、歴代で単独最長の6大会連続得点。「多くの記録を残し、誇りに思っている。だからこそ今を楽しみ、生きていきたい」。最後に望むのは、悲願のW杯優勝。絶景から流す涙こそ、世界のファンは待ち望んでいる。
【時事通信社】
〔写真説明〕W杯欧州予選のアイルランド戦でプレーするロナルド=2025年11月、ダブリン(AFP時事)
2026年05月09日 07時07分