
大規模な国際スポーツ大会は、社会を映す鏡にもなる。愛知・名古屋アジア大会では、政治的に長年の緊張関係にある韓国と北朝鮮のチームや選手同士が熱戦を繰り広げている。21日に行われたサッカー女子1次リーグF組最終戦でも、激しく戦った。
スタンドでは両チームの応援団が異なる場所に陣取り、同じ言語で大きな声援を送った。選手はピッチ上で全力でぶつかり合いながらも、フェアプレーを貫こうとする精神も見えた。1―1の引き分けで試合が終わると、両チームの選手がハイタッチ。友好的なムードが漂った。
ただ、メディアの前では少しピリピリしていた。試合後の記者会見で互いの関係を問われると、韓国の申相又監督は「両国がサッカーで結果を出せばいいので、政治的なものは関係ない」とぴしゃり。北朝鮮のパク・ソンジン監督も「私たちはサッカーをした。それ以上、言うことはない」とかわした。
第2次世界大戦後に分断されてから軍事的な対立が続く一方、スポーツの場ではたびたび手を取り合ってきた。代表的なのは1991年に千葉で行われた卓球の世界選手権。統一チーム「コリア」で出場し、選手団の歌は朝鮮半島の民謡「アリラン」。選手同士の友情も生まれた。客席では応援団が一つになり、白地に水色の朝鮮半島が描かれた統一旗が振られた。
韓国が舞台となった2018年平昌五輪のアイスホッケー女子や、同年夏のジャカルタ・アジア大会のカヌーなどでも「コリア」が出場。カヌーでは息を合わせて金メダルを獲得した。しかし、近年は結成の動きがない。空手の女子組手で韓国選手と対戦したある北朝鮮選手は、「相手が韓国人だからといって、特別な感情はなかった。どの国の選手が相手でも、私は勝つことだけに集中している」と言った。
【時事通信社】
〔写真説明〕世界卓球女子団体決勝で中国を下して優勝し、喜ぶ南北朝鮮統一チーム=1991年4月29日、千葉・幕張メッセ
〔写真説明〕サッカー女子1次リーグで競り合う(右から)北朝鮮と韓国の選手=21日、静岡・エコパスタジアム
2026年09月26日 07時11分