
高市早苗首相は24日、就任後初の国連総会出席を終えて米ニューヨークから帰国した。今後の外交は、厳しい状況が続く日中関係の立て直しが課題となる。首相は11月に中国で開催される国際会議などを通じて改善の糸口を探りたい考えだ。ただ、首相が国連憲章の「旧敵国条項」の早期削除を訴えたことに中国側は反発しており、新たな火種となる可能性もある。
「旧敵国条項は早急に削除されるべきだ」。首相は22日、国連総会の一般討論演説でこう強調。「70年間にわたり、国連に大きく貢献してきた日本の誇りと名誉に懸けて、強く申し上げておく」とも述べた。
旧敵国条項は日独伊など第2次世界大戦の「敵国」に対し、安全保障理事会の許可なしに軍事行動をとれるとした規定。2005年に中国を含む加盟国が削除する方針で一致したが、いまだに実現していない。政府関係者によると、首相は自ら演説に加筆するこだわりようだったという。
これに対し、中国外務省の郭嘉昆副報道局長は23日の記者会見で、「ファシズムや軍国主義が再び平和と安全を脅かすことを防ぐ重要な制度的枠組みだ。今日でも重要な現実的意義を有している」と反発した。
日本外務省幹部は「条項削除は中国も賛成した」と指摘した上で、「『決議と違うことを言っている』と堂々と発言したらいい」と首相を擁護。日中関係を重視する自民党の閣僚経験者は、「けんかの材料を提供するのはどうなのか」と苦言を呈した。
一方、首相は17日の会見で、今後の国際会議の際に中国の習近平国家主席と会談する可能性に関し、「国益の観点から冷静かつ適切に対応する」と述べた。年末にかけて、東南アジア諸国連合(ASEAN)とアジア太平洋経済協力会議(APEC)、20カ国・地域(G20)のいずれも首脳会議が続く。
特に11月に中国・深センで開かれるAPECは習氏が議長を務める。日本政府内では「現状では首脳会談は困難」との見方が多いものの、「ホストだから握手はするのでは」との声も上がる。関係改善のきっかけにできるか、引き続き首相の手腕が問われそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=24日午前、東京・永田町
2026年09月25日 07時45分