日本産牛肉の対中輸出の再開に向け、「日中動物衛生検疫協定」が11日、発効した。輸出再開の前提となる協定で、2019年には両国間で署名に至ったものの、中国側の手続きが行われず、具体的な動きは進展していなかった。今回の発効は、禁輸措置解除への大きな前進となる。ただ、食品衛生面などの輸出条件の詳細な協議は残っており、本格再開の時期は依然不透明だ。
日本の牛肉の輸出額は21年以降500億円を超えて推移し、24年には648億円となった。農林水産省は食料・農業・農村基本計画で、牛肉について30年に1132億円を輸出する目標を掲げている。24年の実績から約1.7倍に増やす必要があり、中国側との具体的な協議を急ぐ。
農水省は、輸出促進に向けた実行計画の中で、中国の禁輸が解除された場合、41.3億円の輸出可能性があると試算している。24年実績のうち、最も輸出額が大きい米国向け(135億円)は今後、関税交渉による影響も懸念されるため、輸出目標の達成には中国への輸出再開の早期実現が欠かせない。
日本でBSE(牛海綿状脳症)が発生し、牛肉が禁輸となった01年以降、中国向け輸出は一度も再開されていない。今年1月には江藤拓前農水相が中国の韓俊農業農村相と会談し、禁輸措置の解除を求めていた。
【時事通信社】
2025年07月12日 08時15分
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