【ニューデリー時事】インドの高速鉄道事業を巡り、同国政府が新幹線方式を導入して建設中の西部区間だけでなく、今後建設予定の他の区間にも競争入札を前提に日本からの参入を促していることが13日、複数の関係者への取材で分かった。訪日するモディ首相と石破茂首相との首脳会談は29日を軸に調整が進められている。参入拡大への道が開ければ、官民を挙げた日本の鉄道インフラ輸出に一段と弾みがつきそうだ。
インド政府は独立100周年となる2047年までに、日本の新幹線網の2倍以上である総延長7000キロに及ぶ高速鉄道建設を目標に掲げている。首都ニューデリー―北部バラナシ間など複数の路線が構想され、事前の調査が始まっている。
今回の日印首脳会談では、インド初の高速鉄道である西部のムンバイ―アーメダバード約500キロ間の運行車両を巡り、JR東日本の次期新幹線「E10系」採用を含む幅広い協力枠組み「次世代モビリティ・パートナーシップ」を締結する予定だ。
インド政府は27年中に高速鉄道の部分開業を目指している。E10系投入は日本とほぼ同時期の30年代初頭となる見込み。日本側は既に他区間への展開を見据え、運行速度引き上げなど複数の提案を検討中。参入拡大に向けては、首脳会談や西部区間の成否が重要となる。
インド側は車両価格などを巡って協議が行き詰まった昨年、交渉の場で日本を他の区間に参入させないと発言したが、後に態度を翻した。
首脳会談翌日にはモディ氏と、新幹線運転士になるため日本で技能講習中のインド人研修員が面会する案も浮上している。首脳会談では鉄道インフラのほか、両国の人材交流拡大や半導体分野の協力、08年に署名した「安全保障協力に関する共同宣言」の改定といったテーマも話し合われる見通しだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕JR東日本の次期新幹線車両「E10系」の外観イメージ(JR東日本提供)
2025年08月14日 08時26分