公明党の連立政権離脱という新たな展開を受け、連合は支援先の立憲民主、国民民主両党が共同歩調を取れる余地が広がるとみて期待を強めている。国民民主の与党入りの可能性が当面低くなったためで、これを好機として立・国双方に歩み寄りを求める方針。政局の行方は予断を許さず、手探りの対応が続きそうだ。
連合の芳野友子会長は8日の定期大会で続投が決まり、3期目に入った。源流を同じくする立・国の連携をかねて重視しており、今後の方針として「大きな固まりに向けて取り組みを強化する」としている。
傘下の産業別労働組合(産別)のうち、自治労や日教組は立民に、UAゼンセンや自動車総連は国民民主にそれぞれ組織内候補を送り込んでいる。連合関係者が「最悪の事態」と呼ぶのが、立・国が与野党に分かれるパターンだ。
自民党に高市早苗総裁が誕生し、衆参両院で過半数割れの状態から脱するため連立政権の枠組み拡大へ国民民主に照準を定めると、連合に危機感が高まった。高市氏と国民民主の玉木雄一郎代表は積極財政などで親和性がある。幹部は「こちらも割れる」と焦りを口にした。
その後、公明が政権を離れたことで状況は一変。玉木氏は連立参加について「あまり意味のない議論になってきている」と語り、ブレーキをかけた。立民は、玉木氏を首相指名選挙の野党統一候補とする案を提起した。
ただ、玉木氏は公明との連携に意欲を示し、情勢を見極める姿勢だ。11日には記者団に「政策が一致する政党となら組めるが、現在の立民とは組めない」と明言。立・国協調の展望は開けていない。
3期目の芳野体制では要のポストである事務局長に、国民民主を支持する電機連合の神保政史氏が就いた。立民を支援する産別からは「玉木氏を抑え込めない」と不安の声が漏れており、連合も正念場を迎える。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する連合の芳野友子会長=8日、東京都新宿区
2025年10月13日 07時05分