中小企業、独自技術をアピール=未来見据え展示、実用化に弾み―万博



13日に閉幕する大阪・関西万博は、中小企業が独自技術をアピールする場にもなった。金属加工や繊維などの分野で、歴史ある町工場が「未来」を見据えた製品を展示。普段と異なる客層の目に触れることで新たな商機を見いだし、実用化に弾みがつくと期待されている。

「大阪ヘルスケアパビリオン」には、400社を超える中小企業が週替わりで出展。大阪冶金興業(大阪市)は、医療に使われるチタン製人工骨を展示した。3Dプリンターでチタンを扱えるのが同社の強みで、寺内俊太郎社長は「材料に関する50年以上の知恵や研究の結果だ」と胸を張る。患者一人ひとりの骨格に合わせたオーダーメード型の人工骨は珍しく、医師からの要望は強いという。

既に顎の人工骨を商品化しているが、販売実績はまだわずかだ。万博会場で顎以外の部位の見本も紹介したところ、高齢者から「股関節を早く実用化してほしい」との声が上がり、同社は顎以外の人工骨も手掛けたい考えだ。

圓井繊維機械(同)は、生産過程で化石燃料を使用しない糸「POM繊維」を披露した。工場などから排出されるメタンガスや一酸化炭素から必要成分を抽出して繊維化する技術で、脱炭素社会実現への新たな可能性を訴えた。会場では、偶然見たというイタリアの専門業者から「生地のサンプルを送ってほしい」と依頼されたほか、投資家から資金調達支援の打診もあったという。

同社には、大阪が地盤の池田泉州銀行が、技術相談を受けられるよう専門家を紹介した。自力では難しいとされる中小企業の研究開発や実証実験を支援する動きは近年、金融機関などに広がりつつあり、知名度で劣る中小企業にとって、万博は広く注目を集める格好の機会となった。圓井繊維機械の圓井良社長は「出展した意義は大きい」と手応えを語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕大阪冶金興業が出展した人工骨に興味を示す来場者=9日、大阪市此花区 〔写真説明〕圓井繊維機械が万博に出展した「POM繊維」と呼ばれる糸。化石燃料を使用せずにつくれる技術をアピールした(同社提供)

2025年10月13日 07時09分


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