女性宰相、悲願の80年=「ガラスの天井」破る



自民党の高市早苗総裁が「宰相の座」を射止めた。女性の参政権獲得から80年。政界の女性参画は道半ばだが、最も高く厚い「ガラスの天井」を破った。

日本で女性に参政権が認められたのは戦後の1945年。女性運動をリードした市川房枝氏らが実現に尽力し、翌46年の衆院選で39人の女性議員が誕生した。

75年の「国際婦人年」を契機に、世界で広がった女性の地位向上運動を踏まえ、日本でも85年に男女雇用機会均等法、99年に男女共同参画社会基本法と法整備が進展。2018年には男女の候補者均等を政党に求める議員立法が成立した。

女性の社会進出は進んだものの、各国の男女平等度を示す「ジェンダーギャップ指数」で、日本は148カ国中118位(25年)と低迷。政治分野の遅れは顕著で、国会議員の女性比率も衆参両院合わせて20.6%にとどまっている。

これまでで最も首相の座に肉薄した女性が、旧社会党で委員長を務めた土井たか子氏だ。国政政党初の女性党首として、89年の参院選で「マドンナ旋風」を起こし躍進。与党を過半数割れに追い込み、参院で首相指名を受けた。衆院の優越規定で首相就任は自民の海部俊樹氏に譲ったが、後に衆院議長に就任し、女性初の「三権の長」となった。

首相ポストに直結する自民総裁に初挑戦した女性は小池百合子氏。08年の総裁選に出馬し敗れたが、16年に女性初の東京都知事に転身した。これ以降、総裁選に出馬した女性は高市氏と野田聖子、上川陽子両氏のみだ。

米国では、16年に元国務長官のクリントン氏、24年に当時副大統領のハリス氏が、大統領選の民主党候補となったが、いずれも敗北。女性大統領はいまだ実現していない。

英国初の女性首相となったサッチャー氏を「理想の指導者」と仰ぐ高市氏。サラリーマン家庭に生まれ、地盤も看板も持たなかった一人の女性が、憲政史上に大きな一歩を刻んだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕自民党の両院議員総会であいさつする高市早苗総裁=21日午前、国会内

2025年10月22日 07時05分


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