保守派判事からも懐疑論=関税訴訟で初弁論―米最高裁



【ワシントン時事】米連邦最高裁判所は5日、相互関税の合法性を巡る訴訟の第1回口頭弁論を開いた。国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置を巡り、多数を占める保守派の判事からも懐疑的な見方が相次いだ。

最高裁判事は保守派が6人、リベラル派が3人で、トランプ大統領は自身に有利な判断に傾くと期待している。一、二審は、関税賦課の権限は議会にあり、大統領の権限を逸脱しているとして違法で無効と判断した。米政権の看板政策の是非に関する判断は、早ければ年内に示される可能性がある。

5日の審理の焦点は、同法が大統領に認める「輸入を制限する」権限に、関税措置が含まれるかだ。トランプ政権が初めて活用したが、下級審は同法に関税に関する記述がない一方、他の法律は関税について明確に規定していると指摘していた。

保守派の判事は、過去に関税賦課のために「輸入制限」の規定が使われた例はあるかと政権側に疑問を呈したほか、「関税は常に議会の中核的な権限だ」との見方を示した。

一方、政権側は「関税は輸入を制限する最も伝統的で直接的な方法の一つで、表現に含まれる」と主張。貿易赤字などの緊急事態が国家安全保障を脅かすとした上で、「大統領は固有の権限を行使できる」と強調した。審理に出席したベセント米財務長官は記者団に「大統領に権限を与える必要性について非常に説得力ある主張だった」と語った。

最高裁が違法と認めれば、トランプ政権は納められた関税を還付する必要がある。原告の中小企業側は過去の判例を引用し、無効となった場合の「深刻な経済的混乱は(措置を認める)理由にならない」と訴えた。

【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ米政権が発動した相互関税を巡る第1回口頭弁論が開かれた連邦最高裁判所=5日、ワシントン(EPA時事)

2025年11月06日 08時58分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース