
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は5日、財政制度分科会を開き、高市政権下で初となる2026年度予算編成に向けた議論を始めた。石破前政権での来年度予算の概算要求は、賃上げや物価高への対応を反映し総額122兆円超と過去最大に達した。高市早苗首相は「責任ある積極財政」を掲げており、さらなる財政拡張も予想される中、財政健全化との両立をいかに図るかが課題となる。
高市氏は10月24日の所信表明演説で、「強い経済」の構築に向けて「戦略的に財政出動を行う」と強調。戦略分野への官民投資で経済成長を図り、税収を増加させて財政の持続可能性を確保する方針を掲げた。
ただ、財源を伴わない財政拡張は、市場の信認を損ない、金利上昇を通じて一段の財政悪化を招く恐れもある。財務省は26年度以降、国債金利が想定より1%上昇すれば、利払い費が足元の10.5兆円から、34年度には34.4兆円に膨らむと試算する。
会合では、委員から「財政の信認を維持することが成長を支える」「想定外の有事発生に備え、財政余力の確保が重要」などの意見が出た。終了後の記者会見で、増田寛也会長代理は「経済成長と財政健全化を両立させないと市場の信認が損なわれる。的確な財政運営をしていく必要ある」と述べた。
【時事通信社】
〔写真説明〕財政制度等審議会の分科会=5日午前、財務省
2025年11月05日 13時30分