放置の廃旅館、撤去に補助=地域再生へ跡地活用―観光庁検討



観光庁は、温泉地などで長年放置されている廃旅館の撤去を支援する制度を2026年度に創設する検討に入った。事業者が跡地を活用することを条件に費用の一部を補助する方向。廃旅館は倒壊の危険があるほか、観光地の魅力向上の足かせとなっている。撤去を後押しすることで、地域再生につなげる考え。

全国の温泉地では戦後の団体旅行ブームで多くの大型旅館・ホテルが開業したが、バブル崩壊などの影響で廃業が相次いだ。解体工事の費用が高額なことから、一部の建物は撤去されずに残されている。

観光庁は現在も、インバウンド(訪日客)の受け入れ環境整備の一環として、廃屋の撤去費の2分の1を5000万円を上限に補助している。ただ、大規模な施設の撤去費を賄うには十分ではないという。このため新たな制度では、補助の上限を引き上げ、補助率も2分の1以上にする考えだ。

観光地の景観を損ねている大規模な廃屋については、宿泊施設以外も撤去を支援することを視野に入れている。自治体が主導して解体を進め、跡地の開発は民間が担うケースも支援の対象に含めることを検討する。

観光庁によると、解体工事費が巨額に上り採算が見込めないため、旅館跡地の再生事業を断念する事業者は多いという。同庁は、こうした点を踏まえ、廃旅館の撤去への支援を強化する必要があると判断した。跡地に新たな旅館がオープンすることなどを想定している。

【時事通信社】 〔写真説明〕鬼怒川温泉の廃虚となっているホテル群=2023年3月、栃木県日光市

2025年11月08日 20時33分


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