
シベリア永久凍土から2010年に発見された約3万9000年前のケナガマンモス「ユカ」は雌とみられていたが、雄にしかない性染色体のY染色体が存在することが分かった。スウェーデンのストックホルム大などの国際研究チームが細胞核のDNAやリボ核酸(RNA)を解読して確認し、14日付の米科学誌セル電子版に発表した。
DNAは2本鎖構造で比較的安定しており、グリーンランドの約200万年前の地層に含まれる動植物のDNAが解読された例がある。しかし、RNAは1本鎖構造が多く、劣化しやすいため、今回が最古の解読例。DNAやRNAに加え、近年は古い年代のたんぱく質も解析する技術が発達しており、動植物のほか、インフルエンザやコロナなどのRNAウイルスの進化の解明が進むと期待される。
ユカは発見地の先住民ユカギル族から名付けられ、冷凍状態のまま13年に横浜市で一般公開された。ロシア科学アカデミーなどによる21年の論文では、歯の分析で5歳半の子どもと判明。ホラアナライオンに襲われて死に、一部が食い荒らされてから凍結した。現状の重さは約270キロだが、生前の体重は350~400キロと推定される。
性別は外性器とみられる部分を現代のゾウと比較した結果、雌と判定されていたが、ストックホルム大チームはY染色体にある性決定遺伝子「SRY」のDNA配列や、Y染色体の他の遺伝子から生み出されたRNAの配列を確認した。筋肉の収縮などを担うたんぱく質の生成につながるRNAや遺伝子の働きを調節する「マイクロRNA」も特定できた。
【時事通信社】
〔写真説明〕シベリア永久凍土から2010年に見つかったケナガマンモスの子ども「ユカ」の展示。ストックホルム大などの解析で雄と判明した(Valeri
Plotnikov氏提供)
〔写真説明〕シベリア永久凍土から2010年に発見されたケナガマンモスの子ども「ユカ」。ストックホルム大などの解析で雄と判明した(Grigory
Gorokhov氏提供)
2025年11月15日 01時08分