
沈没した観光船「KAZU
I(カズワン)」を運航していた「知床遊覧船」(北海道斜里町)の社長桂田精一被告(62)は12日、釧路地裁で開かれた初公判で「ご家族の皆さまに改めて深くおわびを申し上げます」と謝罪した。ただ、「罪が成立するかは分かりません」とも述べ、弁護側は無罪を主張した。
午前9時半ごろ、黒いワゴン車で地裁に到着。黒っぽいスーツにマスク姿の桂田被告は、正面玄関前で振り返り一礼してから建物内に入った。
同10時すぎの1号法廷。裁判長に促されて証言台の前に立つと、人定質問では職業を「会社経営者です」と答えた。
罪状認否では手元の紙を見ながら、乗客家族らに謝罪した上で、「罪が成立するかは分かりません。ただ、経営者として事故を防げなかったことを重く受け止めています。私が話すべきことを誠実に説明してまいります」と述べた。その後、検察官の後ろや傍聴席に座った乗客家族に深く一礼し、弁護士の隣に戻った。
午後の法廷では、マスクを外し、弁護人の前に設置されたモニターを見詰めていた。時折、背もたれに体を預け、目を閉じるなど疲れた様子も見受けられた。閉廷後の午後5時すぎ、正面玄関前で一礼し、足早に車へ乗り込んだ。
昨年9月に逮捕され、起訴後の翌10月に保釈された桂田被告。町内では車を走らせる姿がたびたび目撃されている。関係者によると、経営する宿泊施設の営業期間拡大や設備更新などを目指しているが、売り上げが少なく、道半ばの状態が続いているという。
【時事通信社】
〔写真説明〕釧路地裁の玄関前で一礼する「知床遊覧船」社長の桂田精一被告=12日午前、北海道釧路市
2025年11月12日 20時40分