
男女で同じユニホームを着用するサッカー日本代表で、一つの動きがあった。昨年から女子の「なでしこジャパン」と男子で色の構成を変更。生理などへの配慮を求める声が高まり、女子はホーム、アウェーとも原則として「白」のパンツを着用しない形になった。
最新のホーム用が発表された昨年11月。男子はお披露目となったガーナ戦で上が青、下は白を身に着けたが、女子はカナダ戦で上下とも青を着用した。白で統一されていたアウェー用は、同2月から女子のパンツを黒にしている。
大きな契機となったのが、2024年パリ五輪。白いユニホームで下着が透けて見えたというSNS投稿などがあり、一気に動きが進んだ。高校2年生から日本代表で活躍する熊谷紗希選手(35)=ロンドン・シティー=は、「結構前から声は上がっていたが、ようやくだなというのが正直な気持ち」と明かす。
いつ来るか分からない生理。白いユニホームで試合中に経血がにじんでしまう苦い経験をした選手もいる。「白でなければまだごまかせる。一番(ファンに)見てもらえるなでしこジャパンの試合で白は着たくない」。雨が降れば、不安とストレスはさらに増す。
SOMPOホールディングスが昨年12月に発表した「女子スポーツ特有の悩みに関する意識調査」では、白いユニホームで「困ったことがある」と答えたのは全体の45%。一方、悩みや違和感を相談しなかった理由について、「そういうものだと思い、疑問に思わなかった」が66.4%に上った。以前は熊谷選手もその一人だった。
個人で意見しても、伝えるべき場所にはうまく届かなかったのが現実。23年ワールドカップ(W杯)でイングランド代表がパンツを白から青に変えるなど欧米の各クラブでも同じ動きが加速し、「声を上げることが意味を成すと分かってきた」と熊谷選手。なでしこの背中を押すきっかけとなった。
スポーツ界はまだまだ男性社会。「嫌」な理由が明白なのに、解決が遅れているのはそのせいもある。「女性の声に応えようとしてくれる選択肢があるのは、スポーツを続ける上で大きな意味がある。理解してもらうことで、女性が生きやすい、活躍しやすい環境に近づいていくと思っている」。中高生の競技継続などの点からも重要な一歩で、熊谷選手は今回の取り組みが大きなうねりになることを期待している。
【編集後記】
自分のサッカー人生を振り返ると、白いユニホームを使っていたチームがほとんど。現在所属するチームもそう。相手と色が重なった場合に用いるセカンドとして持っておくと無難な色だからだ。当然のように使われている「白」が女性にとって負担になっているとは、恥ずかしながら取材するまで気付けなかった。熊谷選手の「今回取り上げてもらわなかったら、男性たちは気にもしなかったと思う」との言葉が今も響く。それまでの「当たり前」と改めて向き合うことが、相互尊重の観点で大切だと認識した。(時事通信運動部記者・前田悠介)。
【時事通信社】
〔写真説明〕カナダとの国際親善試合で上下とも青のユニホームを着用するなでしこジャパンの選手ら=2025年11月、長崎・ピーススタジアムbySoftBank
〔写真説明〕国際女性デー2026
〔写真説明〕ガーナとの国際親善試合で上は青、下は白のユニホームを着用するサッカー男子日本代表=2025年11月、愛知・豊田スタジアム
〔写真説明〕スペインとの国際親善試合で上は白、下は黒のユニホームでプレーする熊谷紗希(左)=2025年6月、スペイン・レガネス(AFP時事)
2026年02月27日 14時32分