環境省は、東京電力福島第1原発事故に伴う除染作業で生じた除染土のうち、放射性物質の濃度が低い土の再利用を本格化させる方針だ。2025年は首相官邸の前庭や東京・霞が関の中央省庁の花壇などで先行的に利用を開始。26年は各省庁の出先機関や所管法人を皮切りに、地方での取り組み拡大を目指すが、周辺住民の理解醸成など課題は多い。
福島県内の中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)に現在保管されている除染土は約1400万立方メートル。45年3月までに県外で最終処分することが法律で定められている。
除染土のうち、放射性物質の濃度が低い「復興再生土」は4分の3程度に相当すると見込まれる。政府は25年8月、今後5年程度の工程表(ロードマップ)を決定。復興再生土は30年ごろまでに、公共事業や民間事業に再利用するめどを立てるとした。
再利用は、首相官邸で昨年7月、東京・霞が関の中央省庁で昨年9月にそれぞれ始まった。使用された土の量はわずかだが、同省によると、「批判的な声は限定的」(幹部)だという。
ただ、地方にある各省庁の出先機関や所管法人は生活圏に近く、受け入れのハードルが高い。実際、22年に同省が計画した新宿御苑(東京都新宿区)などでの再利用の実証事業は、周辺住民の強い反対で頓挫した。
石原宏高環境相は今年2月の記者会見で「自身の思い」と断った上で、「秋までには利用する場所は必ず見つけたい」と語った。ただ、実現には地域住民の理解が不可欠。利用場所が見つかっても、輸送する距離や量によっては中間貯蔵施設で保管するよりもコストがかさむ恐れもある。計画通りに再利用が進むかは依然不透明だ。
【時事通信社】
2026年03月02日 18時17分
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