
自民党と日本維新の会が5日、衆院議員定数削減法案を提出した。野党各党は企業・団体献金規制の強化を優先するよう求めて対抗する構え。与党は衆院で過半数に達しているものの、審議の舞台となる衆院特別委員会は立憲民主党が委員長ポストを握り、日程も窮屈。週明けから与野党の駆け引きが激化しそうだ。
「政治資金規正法改正(の審議)が先決だ」。立民の野田佳彦代表は5日の記者会見でこう述べ、定数削減法案に先立ち規正法改正案を処理すべきだとの立場を示した。
定数削減法案を扱う衆院政治改革特別委員会では、与野党が提出した企業献金見直しに関する3法案が審議中だ。このうち自維の法案は献金規制を事実上先送りするのに対し、国民民主、公明両党案は献金の受け手を大きく制限する。立民も同調し、双方の溝は深い。
定数削減法案はこの足踏み状態に割って入る形となっており、野党には「政治とカネ」の問題に消極的な与党の妨害策にも映る。国民民主の榛葉賀津也幹事長は5日の会見で「裏金問題を曖昧にしていいという国民はそうはいない」と訴えた。
比例代表を含む定数の自動削減は中小政党にとり死活問題。公明の斉藤鉄夫代表は会見で「権力側があらかじめ(定数減を)決めつけるのはあまりに乱暴」と批判し、共産党の山添拓政策委員長も「勝手な都合で押し付けるのは断じて許されない」と語った。
野党各党の国対委員長は8日に会談。「企業献金規制優先」を与党に迫る方針だ。
定数削減の旗を振る維新は今国会での法案成立に固執する。吉村洋文代表(大阪府知事)は記者団に「きっちり審議し、結論を出してもらいたい」と強気の構えだ。参院の過半数確保へ参政党に接触しており、参政の神谷宗幣代表もこれに呼応する姿勢を見せる。
維新は審議停滞を見越し、衆院特別委の委員長解任決議案提出をちらつかせる。同委は委員長を除くと与党が1人上回る。だが、自維から委員長を出せば数的優位を失い、法案可決の見通しが立たなくなるジレンマも抱える。「国会は延長だ」。17日に会期末が迫り、維新幹部はいら立ちをあらわにした。
自民内は定数削減に異論が根強い。ある同党幹部は「焦って審議するテーマではない」と指摘。衆院議長の調停で企業献金規制も定数削減も来年の通常国会に先送りすべきだと主張した。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する立憲民主党の野田佳彦代表=5日、国会内
2025年12月06日 07時11分