
【ストックホルム時事】ノーベル化学賞の授賞式を前に、京都大の北川進特別教授(74)が時事通信のインタビューに応じた。極小の穴が無数に開いた「金属有機構造体(MOF)」には「さまざまな使い道がある」とした上で、将来的には「空気だけで生きられる時代になる」とも述べた。
特に注目している技術に、「空気から二酸化炭素を取り出す技術と、気体の貯蔵システム」を挙げた。都市部以外では家庭用ガスにプロパンが使われていることに触れ、MOFを用いて圧縮貯蔵することで「効率的なシステムを作る必要がある」と指摘した。
臭いの除去にも活用できることから、「体から出るわずかな気体を捕捉し、病気を特定する技術も可能だ」と話した。
中国の思想家・荘子が説いた「無用の用」を座右の銘としてきた北川さん。MOFの活用が進んだ将来像についても、荘子の言葉を引用して「かすみを食って生きられるような未来だ」と表現。空気中から酸素や二酸化炭素、水素などをMOFで取り出すことで、「空気だけで生きられる時代になる」とした。
また、「今の世界は地下資源の経済。資源を輸入に頼る日本が他国に負けるのは当たり前だ」と指摘。MOFを活用した「空気の経済」が生まれれば、「資源の乏しい日本でもやっていけるはずだ」と訴えた。
【時事通信社】
〔写真説明〕インタビューに応じるノーベル化学賞を受賞する京都大の北川進特別教授=7日、ストックホルム
〔写真説明〕インタビューで金属有機構造体(MOF)が描かれたネクタイについて笑顔で話す京都大の北川進特別教授=7日、ストックホルム
2025年12月09日 07時05分