物議醸す「中国スパイ拠点」=巨大大使館、承認期限迫る―英



【ロンドン時事】中国政府がロンドン中心部に巨大大使館を新設する計画を巡り、英政府の判断が注目されている。「スパイ拠点」になりかねないと懸念する声を考慮し、これまで承認を3度延期。スターマー首相は、1月末の訪中を検討しており、同月20日を期限に判断を迫られている。

新大使館は、観光名所のロンドン塔に隣接する王立造幣局跡地に建てられる計画。中国政府が2018年に約2億5500万ポンド(当時約400億円)で土地を購入した。敷地面積は約2万平方メートル。中国の在外公館では欧州最大規模の「メガ大使館」となる見通しだ。

この計画に対し、議会や反対派は中国から「スパイの大群」(タイムズ紙)が押し寄せると懸念する。設計図面には黒塗りの地下室やトンネルがあり、中国側は用途の説明を拒否。建設予定地の直下には金融街のシティーとカナリーワーフを結ぶ重要通信ケーブルが通るため、機密傍受といった安全保障リスクが指摘されている。

中国は建設計画を18年に申請したものの、地元自治体が却下。手続きを引き継いだスターマー政権は繰り返し承認判断を延期してきた。中国の習近平国家主席は24年、スターマー氏との電話会談で計画の早期承認を直接要請した。

しかし、野党は大使館が「巨大情報機関」(ダンカンスミス元保守党党首)になると警告。スターマー政権が安保リスクを顧みず、中国との経済関係改善を優先させていると批判している。

英国では昨年11月、中国の女性スパイが上下両院議員らに接触を試みていた工作が発覚。情報局保安部(MI5)は中国政府が関与する情報活動への警鐘を鳴らした。英政府は同12月、3度目となる計画承認の延期を決め、新たな期限を1月20日に設定した。

スターマー氏は中国は「安保上の脅威」と明言する一方、「技術や貿易、地球規模の問題解決で決定力を持つ」と強調。大使館計画の承認判断には、北京にある英国大使館の拡張計画を進めるとともに、英首相では18年以来となる訪中実現で得られる経済面での成果を、2割以下に低迷する支持率回復につなげたい思惑ものぞいている。

【時事通信社】 〔写真説明〕在英中国大使館の建設が計画されている王立造幣局跡地=2025年12月、ロンドン 〔写真説明〕在英中国大使館の建設が予定されている王立造幣局跡地=2025年12月、ロンドン

2026年01月07日 14時33分


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