対イランで距離置く欧州=ウクライナ優先、米と亀裂鮮明



【ブリュッセル時事】米イスラエルが始めた対イラン軍事作戦に、米国と同盟関係にある欧州諸国は距離を置いている。ロシアの侵攻が続くウクライナ支援を優先する立場で、出口の見えない交戦に巻き込まれることへの警戒感は強い。トランプ米大統領は欧州を「臆病者だ」などと非難しており、米欧の亀裂は鮮明だ。

「これはわれわれの戦争ではない」。スターマー英首相は23日の下院委員会でこう述べ、英国の対イラン作戦関与には「合法的根拠」が必要だと強調した。欧州内で米国と最も緊密な関係を築いてきた英国だが、現時点では米軍の英軍基地の使用を認めるなど間接的な支援にとどめている。

フランスも「現在の状況下ではホルムズ海峡の開放作戦には決して参加しない」(マクロン大統領)として、軍事面での関与に否定的だ。ドイツのメルツ首相も「終わりのない戦争はわれわれの利益にならない」として、外交による早期解決の必要性を訴えている。

欧州諸国のこうした姿勢の背景には、2003年のイラク戦争に協力したことへの反省がある。当時のブッシュ(子)米政権が開戦の根拠とした大量破壊兵器は見つからず、「大義なき戦争」に加担したとの自責の念は強い。

イランの最高指導者を殺害した今回の軍事作戦は、大統領を米国に連れ去った年明けのベネズエラ急襲と同様、一方的な先制攻撃だとの批判が多い。欧州が国際法を軽視するトランプ政権に全面協力すれば、ロシアのウクライナ侵攻を糾弾する根拠が揺らぐことになる。

ただ、中東の不安定化は欧州にとって看過できない問題だ。エネルギー調達ではロシア産ガスからの依存脱却を進める中、カタールなど中東産の重要性が高まっている。シリア内戦を契機に難民の大量流入に直面した欧州難民危機の記憶も新しい。欧州は距離を保ちつつも、事態を傍観できないジレンマに直面している。

【時事通信社】 〔写真説明〕(右から)フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相、スターマー英首相=2月13日、ドイツ・ミュンヘン(AFP時事)

2026年03月27日 08時17分


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