米の核政策、先行き不透明=軍備管理協議も不調―イラン攻撃で拡散に拍車も



【ワシントン時事】米国の核政策を巡っては、トランプ大統領の「核実験再開」発言や米ロの新戦略兵器削減条約(新START)失効など先行きが不透明な事態が続く。中国を巻き込む軍備管理協議も実現を見通せず、核開発阻止を掲げて開始した米軍のイラン攻撃が、逆に核拡散の波を引き起こしかねないとの分析も出ている。

第2次トランプ政権は、抑止とエスカレーション管理に焦点を当てた「核戦力の現代化」を掲げる。しかし、具体的な指針を示す「核態勢の見直し(NPR)」を作成しない方針で、専門家からは透明性の欠如がリスクをもたらすとの批判の声が上がっている。

実際、トランプ氏は昨年10月、「国防総省に核実験を開始するよう指示した」とSNSで突然表明し、波紋を広げた。米国は1990年代以降爆発を伴う核実験を行っておらず、具体的に何を指すのかは今も不明だ。シャインマン元米大統領特別代表(不拡散担当)は「戦略文書がないことで(トランプ氏の)SNSによって(核政策が)方向付けられることになる」と問題視する。

一方、トランプ氏は核軍縮自体には長年関心を示してきた。新START失効を受けて、ロシアに中国を加えた3カ国での軍備管理協議を改めて提案した。ロシアの脅威以上に、核戦力を強化し続ける中国への警戒感が背景にある。米国は「中国は2030年までに1000発以上の(核弾頭を保有する)ペースで増産している」(ルビオ国務長官)と見ている。

だが、核弾頭数で米ロに劣る中国は協議に否定的だ。ヨー米国務次官補(軍備管理・不拡散担当)は「核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて、中国が大統領の提案に応じることを期待する」と訴えるが、具体的な交渉が始まるめどは立たない。

トランプ政権が2月にイスラエルと共に開始したイラン攻撃を巡っては、核計画の放棄を迫る目標とは裏腹にNPT体制を揺るがしかねないとの見方がある。英王立国際問題研究所のジョージア・コール研究員は同研究所のサイトで「核抑止力があれば、イランは攻撃されなかったという教訓を受け取る国があるかもしれない」と論評。イランを含め核兵器開発に動く国が出る恐れがあると警告する。

【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ米大統領=23日、ワシントン(EPA時事)

2026年04月27日 07時03分


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