インフルエンサー発信に疑念=暗殺未遂後に類似の政治主張―トランプ政権との関係に焦点・米



【ワシントン時事】米首都ワシントンのホテルで4月に起きたトランプ大統領の暗殺未遂事件をきっかけに、インフルエンサーの政治的発信に改めて注目が集まっている。多数の保守系インフルエンサーが事件直後、ホテルの安全性とホワイトハウスに宴会場が必要とするトランプ氏の持論を結び付けるコメントを相次いで投稿し、組織的なメッセージの拡散だったのではないかという疑いが浮上しているためだ。

民主党系の政治コンサルタントの指摘やファクトチェックサイトなどによれば、事件発生から数時間以内に少なくとも保守系インフルエンサー十数人が「今すぐホワイトハウスの宴会場を造れ」などとX(旧ツイッター)に投稿していた。それぞれ表現は異なるが、趣旨は同一だ。

トランプ氏が出席していたホテルでの夕食会が標的になった暗殺未遂事件では、民間施設の警備態勢を疑問視する声が上がった。一方、ホワイトハウスの東棟を解体して自前の宴会場の工事を進め、歴史的建造物の破壊だと批判を浴びていたトランプ氏は、事件直後に開いた記者会見で「あの建物(ホテル)は特別安全だというわけではない」と述べ、宴会場建設を正当化していた。

タイミングが良過ぎた一連の発信は、米国民の間に不信を広めた。調査会社ニュースガードが公表した世論調査では、回答者の4人に1人が事件に関し、トランプ政権によって仕組まれたものだと思うと回答した。

保守系インフルエンサーと政権の不透明な関係は、これまでも指摘されてきた問題だ。ワシントン・ポスト紙は、トランプ氏を熱狂的に支持する政治運動「MAGA(マガ)」から決別したインフルエンサー、アシュリー・セントクレア氏が事件前から続ける「告発」の内容を詳報。同氏は著名なMAGA系ネット論客らについて、グループチャットを通じ政権当局者らが共有する「論点」に沿って発信を続け、報酬も受け取ってきたと主張する。

連邦当局はインフルエンサーに対し、商品宣伝のため金銭をもらったらその事実を公表するよう義務付けているが、政治宣伝を巡るルールは十分整備されていない。セントクレア氏の告発を裏付ける明確な証拠はないものの、制度上の抜け道は世論誘導の危険をはらんでいると言えそうだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕ホワイトハウスに建設する宴会場の完成予想図を示すトランプ米大統領=2025年10月、ワシントン(EPA時事) 〔写真説明〕解体されたホワイトハウス東棟の跡地=4月17日、ワシントン(AFP時事)

2026年05月13日 08時07分


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