政府は、有事に防衛用途へ迅速に転換できる軍民両用品(デュアルユース)の国内製造基盤の強化に乗り出す。いざという時の防衛装備品の増産需要に対応できる生産能力を確保するには、平時から民間企業が安定的な収益を上げ、設備投資を続けることが重要。政府は国による発注に加え、民需や外需の開拓を支援して市場を育成。調達を過度に海外に依存しない体制を構築する。
ロシアのウクライナ侵攻では、安価な小型無人機(ドローン)や米スペースXの衛星通信網「スターリンク」といった民間技術の軍事利用がウクライナの継戦能力を支え、戦況を左右し始めている。軍民両用品の市場規模について、政府は世界全体で現在の約65兆円から2035年には約130兆円に、国内市場も約6兆円から約13兆円に拡大すると見込んでいる。
需要取り込みに向け、政府は21日に閣議決定した日本成長戦略で、軍民両用品を官民による重点投資対象に選定。ドローンに関し、30年時点で民生分野で8万台の機体・重要部品の供給を確保する目標を掲げた。研究開発や設備投資に必要な資金の最大50%を助成するなどして量産化を後押しし、強化した生産基盤を防衛分野にも活用する。
ドローンは現状、中国製品が国内シェアの9割を握り、物流や警備など幅広い産業で使われている。中国勢による寡占に風穴を開けようと、産業用ドローンを手掛けるACSL(東京)は経済産業省やNTTドコモ、ヤマハ発動機などと連携し、空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」を共同開発。取得データを即座に暗号化する高いセキュリティー性能が特徴で、民間企業のほか、自衛隊や警察、消防でも採用されている。
同社の寺山昇志共同経営責任者は「最高性能・最低価格の中国製とは厳しい戦い」としつつも、「安心して使える次世代機を作り、中国に追い付く」と強調。北米市場での販路拡大も進める。
政府は地震や豪雨など災害対応で培ったノウハウを生かした防災・衛生関連製品も日本企業の強みが発揮できる軍民両用品と見ている。新興企業WOTA(東京)が開発した少量の水を再利用できる可搬式の浄水設備を使ったシャワーは、ウクライナの水インフラ復旧事業で採用された。同社の製品は能登半島地震でも使用され、防衛省でも採用されている。越智浩樹執行役員は「日本の防災への評価は高い」と述べ、海外展開を積極化する方針だ。
【時事通信社】
2026年07月24日 07時07分
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