
自民党と日本維新の会が今国会成立を目指す「副首都」創設法案の審議が大詰めを迎えた。与党は、大阪など南海トラフ地震の被災が想定される地域も副首都候補から排除しない考えを表明。予算規模など制度の全容も不透明で、野党は維新による「大阪への利益誘導」と批判している。
23日の参院特別委員会と総務委員会の連合審査では、副首都の選定基準を巡る論戦が交わされた。立憲民主党の岸真紀子氏は南海トラフ地震を考慮しない与党の姿勢を疑問視し、大阪を念頭に「特定の地域を優遇するためではないか」と指摘した。
法案提出者の宮下一郎氏(自民)は、法案の主眼は東京を直撃する首都直下地震と富士山噴火への備えにあると主張。南海トラフについて「東京では首都中枢機能の維持が困難になるほどの被害は想定されない」と正当化を図った。
法案は、首都圏被災に備えたバックアップ体制構築に加え、「多極分散型経済圏の形成」を掲げる。インフラ整備や企業誘致のための税制・財政措置や規制緩和も盛り込んだ。参政党の神谷宗幣代表は「災害対策と、それにかこつけた経済的利益の誘導が無理くりくっつけられている」と批判した。
税制・財政措置の内容や財源は明らかになっておらず、法施行後に政府が「基本方針」などで詳細を定めるとしている。野党は副首都の整備費用の試算を求めたが、与党は「あらかじめ示すことは難しい」との答弁に終始した。
基本方針の策定前から副首都を指定できる点も、維新肝煎りの「大阪都」構想と連動した法案との疑念を招く一因になった。大阪の指定を来年春の住民投票に間に合わせるためだと追及を受けた維新の提出者は「大規模災害はいつ起こるか分からず、一刻も早い指定が可能な仕組みが望ましい」と反論したが、議論は平行線をたどった。
法案は、国会や最高裁判所に災害時の対応を検討するよう求める規定を置く一方、皇室の在り方には触れていない。与党側は「宮内庁の所管だ」と説明したが、国民民主党の足立康史氏は「宮内庁任せでいいのか。論外だ」と断じた。
【時事通信社】
〔写真説明〕「副首都」創設法案に関する参院特別委員会と総務委員会の連合審査=23日午後、国会内
2026年07月24日 07時05分