被爆体験、家庭での継承課題=「祖父母から」10年で半減―2世の取り組み活発化・広島



広島への原爆投下から81年を迎え、家庭での被爆体験継承が困難になりつつある。広島市教育委員会が2025年度に行った調査では、原爆や戦争について祖父母から聞いた割合は小・中・高校生でいずれも2割を切り、10年前の前回調査から半減した。一方で、体験を次世代に伝えるため被爆2世が伝承に取り組む動きも活発化している。

調査は児童らの平和意識に関する実態把握などを目的に1995年度から5年に一度行われている。20年度は見送られたため、昨年度は10年ぶりの実施となり、3630人を対象に行われた。

その結果、祖父母から原爆や戦争について教わった割合は小学生が前回38.9%から20ポイント近く減って19.8%になった。中学生は16.8%(前回32.8%)、高校生は13.8%(同30.8%)で3者とも過去最低となり、家庭内での継承の難しさが浮き彫りになった。

厚生労働省によると、3月末時点で被爆者健康手帳を持つ被爆者は9万1105人で、平均年齢は86.66歳。被爆者本人が年々減る中、被爆2世による伝承を目指すのが広島県医師会だ。今夏、被爆2世医師15人が父母らから聞いた話をまとめた「被爆伝承手記」を作成し、広島市東区の広島県医師会館で展示している。

寄稿した松村誠会長(76)は、被爆した母=24年に97歳で死去=が命からがら疎開先の親戚宅へたどり着いたことや母が自分を産む際に抱いたと思われる葛藤をまとめた。「被爆2世として実相を語り継ぐことは、未来の命を守るための活動。その責任と使命を果たしていく」と記した。

檜山桂子常任理事(68)は作成に当たり、母親から初めて被爆体験を聞いた。疎開中だったため生き残った母が感じた複雑な心境を書いた。治療に従事した医師の祖父から生前に話を聞かなかった後悔の念も記した。

檜山氏は「広島にはまだ、親から被爆体験を聞いていない2世がたくさんいると思う。親や身内から直接話を聞いて次世代に伝えてほしい」と話している。

【時事通信社】 〔写真説明〕広島県医師会館で展示された被爆2世の医師による「被爆伝承手記」=7月31日、広島市東区 〔写真説明〕被爆2世の医師による「被爆伝承手記」について説明する広島県医師会の松村誠会長(左)と檜山桂子常任理事=7月23日、広島市中区

2026年08月06日 14時33分


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