
最大震度7を記録した熊本県氷川町。収穫時期を迎えたばかりの特産品の梨が落ちたり、農業用水路が破損したりと影響が広がっている。同町は農業が盛んで、農家らは「今後も続けられるのか」「水が欲しい」と不安を口にする。
果物農家の吉村沙織さん(37)が夫婦で営む畑では、手塩にかけて育てた梨のほとんどが地面に落ちていた。損失は約1000万円に上るといい、あまりのあっけなさに「この先も続けていけるのか」と肩を落とす。
ほかに育てるブドウの大部分は落果を免れたが、冷蔵便を依頼する配送業者が被災し、吉村さんがこだわる「朝採れ」の出荷が困難に。予約が殺到していたお盆期間の出荷分はキャンセルを余儀なくされた。
そんな中でも常連客から「待っています」といったメッセージが多く届き、励ましを受けたと語る吉村さん。「時間はかかるが頑張りたい」と笑顔を見せた。
同町では農業用水のパイプラインが損傷し、農家の間に水不足への懸念も広がる。県は水路の復旧工事を急いでいるが、通水時期が見通せない状況が続いている。
強い日差しが連日照り付ける中、コメ農家の峯村トモ子さん(81)は「水が欲しかけど、無理ばい」と嘆く。稲の成長のために一度水を抜き、再び田んぼに水を張る時期だった。「あと5センチでも水を入れたいのだが」と焦燥感を募らせた。
ミニトマトを栽培する宮崎修太さん(40)も、水不足に頭を悩ませる。自宅や一部の畑には井戸水が通じているが、「それにも限りがある」と話す。間もなく苗を植え始めるところだが、「水の見通しが立たないと困る。(農家の中には)心折れる人もいるんじゃないか」と気をもんでいる。
【時事通信社】
〔写真説明〕地震で落果し、実が少なくなった梨の木を見詰める果物農家の吉村沙織さん(左)夫妻=2日午前、熊本県氷川町
〔写真説明〕震度7の揺れで収穫時期に落果した梨=2日午前、熊本県氷川町
〔写真説明〕農業用水のパイプラインが破損し、ほとんど水が張られていない田んぼ=2日午後、熊本県氷川町
2026年08月06日 14時51分