
【カイロ時事】ロイター通信は10日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、紅海に面する南西部の港湾都市モカを制圧し、沖合のハニシュ諸島に部隊を進めたと報じた。同派と衝突する暫定政府筋の話として伝えた。いずれも海上輸送の要衝バベルマンデブ海峡に近く、フーシ派が支配を拡大した形。中東情勢悪化を受け、原油価格の国際基準である米国産標準油種WTIは急上昇し、1バレル=100ドルの大台に乗せた。
フーシ派は9月に入りバベルマンデブ海峡周辺に進軍し、サウジアラビアの支援を受ける暫定政府軍との戦闘が激化。同派は攻勢を強め、暫定政府側は後退を余儀なくされている。フーシ派の報道担当者は10日、バベルマンデブ海峡での航行の自由は「脅かされない」と主張したが、イランによるホルムズ海峡封鎖に加えてフーシ派がバベルマンデブ海峡を掌握すれば、出口を抑えられた中東産原油の輸送の混乱に拍車が掛かるのは必至だ。
ロイターによると、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」の司令官らがイエメン入りし、フーシ派の紅海沿岸での作戦などを指揮している。イラン当局者は「モカ制圧はフーシ派の決定だ」と述べ、直接関与を否定する一方で、「油価を押し上げ、米国への打撃となった」と評価した。
今年2月に始まった米イランの軍事衝突を巡り、イランやフーシ派はバベルマンデブ海峡の封鎖を示唆したことはあったが、具体的な動きは乏しかった。イランはホルムズ海峡封鎖を通じて米国に圧力をかけてきたが、両国の和平に向けた交渉は再開の見通しが立たず、情勢は緊迫したまま。経済的圧力を受けるイランが「新たな交渉カード」としてフーシ派と連携し、バベルマンデブ海峡の掌握に本格的に乗り出した可能性もある。
【時事通信社】
〔写真説明〕10日、イエメンの首都サヌアで警備に当たる親イラン武装組織フーシ派の戦闘員(EPA時事)
〔写真説明〕紅海の出入り口に位置する要衝バベルマンデブ海峡=7月24日、イエメン沖(AFP時事)
2026年09月11日 13時35分