若者の自殺対策、ICT役割増=専門家「リスクが可視化」



2026年版自殺対策白書は、小中高生の自殺者数が最多を更新するなど、若い世代で増加が見られると分析した。若年層への対策では、情報通信技術(ICT)の占める役割が増しており、専門家は「インターネットの普及で、自殺のリスクが可視化されるようになった」と指摘する。

厚生労働省は、悩みを抱える人への窓口一覧をホームページなどで公開。電話相談とともに、若者らを念頭に、2018年からは相談員がLINEやフェイスブックなどで対応するSNSの窓口も掲載している。

政府は若者の自殺防止策を強化しており、児童や生徒に1人1台配備した情報端末による「心の健康観察」を推進。アプリなどで心身の状況をチェックすることでリスクを早期に把握し、支援につなげる取り組みだ。

人工知能(AI)の存在感も増す。オンライン居場所「かくれてしまえばいいのです」を運営するNPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」は2月、悩んだ時の相談先などを調査。利用者の小中高生らから得た1215件の回答を分析すると、「死にたい」などの気持ちが限界に達した際に相談できる相手としては「AI」が最多の50%だった。

「友人」「相談できない」(いずれも19%)、「相談窓口」(18%)などが続いた。実際の対処法は、動画や音楽などの視聴が42%、次いでAIへの相談が37%だった。AIに対し、「否定しないで受け止めてくれる」「人ではないから安心できる」など肯定的な見方が目立った。

自殺予防を専門とする和光大の末木新教授は、AIは相談を24時間受けてくれるため有効活用できるが、依存といった弊害が出る可能性もあると指摘。「ICT活用により、検索履歴などでリスクがある人を特定できるようになった」とした上で「現状では対応は人が担うため、特定後の体制づくりが必須だ」と強調した。

【時事通信社】

2026年10月23日 14時30分

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